介護サービス事業者には、法令遵守等の業務管理体制の整備が義務付けられています。(法第115条の32)
1.業務管理体制の整備
介護保険法においては、法令等遵守の義務の履行を確保し、指定取消事案等の不正行為を未然に防止するとともに、利用者の保護と介護事業運営の適正化を図るため、業務管理体制の整備を事業者に義務付けています。
事業者が、質の高いサービスを提供していくためには、とりわけ法人役員、法令遵守責任者及び各事業所の管理者が、自ら法令等遵守の重要性について認識を深め、率先して改善を図っていくことが重要です。
2.法令遵守責任者の選任
事業者は、法令を遵守するための体制の確保にかかる責任者(法令順守責任者)を選任します。
3.法令遵守責任者の役割
法令遵守責任者の役割については、法令等で明確に定められていません。
法令遵守責任者は、介護保険法及び介護保険法に基づく通知等の内容に精通した法務担当の責任者で、事業者内部の法令遵守を徹底することができる者が選任されることを想定しています。
また、法令遵守責任者には、辞令等が交付され、その役割と業務内容が事務分掌などで明記されていることが望まれます。
4.法令遵守責任者の業務内容
年に1回以上、事業所の取組状況を職員又は管理者からの聞き取り及び書面での報告等により把握する。
※自己点検シート等の活用或いは各種会議の場を活用する。
事業所から選出された職員又は管理者(以下「法令遵守担当者」という。)で組織された委員会を設置し、法令遵守責任者は事業者全体の法令遵守を徹底する連絡体制を確保する。
研修等を実施し、職員の法令遵守意識を高める。
定期的に、介護保険法その他の関連情報等(制度改正及び介護報酬に関する通知・Q&A等)の収集等を行う。
苦情・事故等の問題が発生した場合には、速やかに報告を求め、事実関係の把握を行い、迅速に解決を図る。 その原因を究明し、防止策を法令遵守担当者で組織された委員会等の場で検討し、事業所の運営に反映させる。
5.法令順守規定の整備
「業務が法令に適合することを確保するための規程」(法令順守規定)には、事業者の従業員に少なくとも法及び法に基づく命令の遵守を確保するための内容を盛り込む必要がありますが、必ずしもチェックリストに類するものを作成する必要はなく、例えば、日常の業務運営に当たり、法及び法に基づく命令の遵守を確保するための注意事項や標準的な業務プロセス等を記載したものなど、事業者の実態に即したもので構いません。
※事業所の数が20以上の事業者に作成が義務付けられている。
<参考規定例> 法令順守規定
6.届出先
業務管理体制に係る届出先は、地域密着型サービスのみを行う事業者であって、事業所等が同一区市町村内に所在する事業者は、区市町村長へ届出る。
7.届出事項
業務管理体制に係る届出事項は、届出事項は、事業者(法人)の名称又は氏名、主たる事務所の所在地、代表者の氏名・生年月日・住所・職名。
なお、事業所の数が20以上の事業者は、「業務が法令に適合することを確保するための規程」の概要。
(厚生労働省)介護サービス事業者の業務管理体制整備に関する届出について 参照
8.届出様式
① 業務管理体制の整備に関して届け出る場合(法第115条の32第2項)
② 届出事項に変更があった場合(法第115条の32第3項)
9.業務管理体制に関する確認検査
① 一般検査
一般検査は、事業者が整備した業務管理体制について、定期的にその運用実態の報告を求め、当該事業者の規模や組織形態等を勘案した上で有効に機能する仕組みとなっているか確認し、事業者の自主的な改善に向けて助言を行うものです。
② 特別検査
事業所の指定等取消処分相当事案が発生した場合には、当該事業所を運営する事業者に対して特別検査を行うこととしています。(詳細省略)
※ 一般検査の主な指摘事項
〇法令遵守責任者の役割が周知されていないため周知すること。
〇介護サービス事業者が定めている法令遵守規程と実際の運用が異なっているため改めること。
〇内部通報の処理体制の整備を検討すること。
〇事故・苦情・相談等の報告体制等を定め、報告の中に法令違反に起因するものがないか確認し、必要に応じて全事業所に情報提供する等の取組を検討すること。
(出所)厚生労働省 介護サービス事業者の業務管理体制
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