医療連携体制加算(Ⅰ)

1.内容

環境の変化に影響を受けやすい認知症高齢者が、可能な限り継続して指定認知症対応型共同生活介護事業所で生活を継続できるように、日常的な健康管理を行ったり、医療ニーズが必要となった場合に適切な対応がとれる等の体制を整備している事業所を評価する。

令和6年度介護報酬改定(変更)

2.単位数

 
 単位数 57単位/日  47単位/日  37単位/日

3.算定要件

 
看護体制要件 事業所の職員として看護師を常勤換算で1名以上配置していること  事業所の職員として看護職員を常勤換算で1名以上配置していること  事業所の職員として、又は病院、診療所若しくは訪問看護ステーションとの連携により、看護師を1名以上確保していること
指針の整備要件 重度化した場合の対応に係る指針を定め、入居の際に、利用者又はその家族等に対して、当該指針の内容を説明し、同意を得ていること

4.報酬基準解釈通知

① 医療連携体制加算は、環境の変化に影響を受けやすい認知症高齢者が、可能な限り継続して指定認知症対応型共同生活介護事業所で生活を継続できるように、日常的な健康管理を行ったり、医療ニーズが必要となった場合に適切な対応がとれる等の体制を整備している事業所を評価するものである。

② 医療連携体制加算(Ⅰ)ハの体制について、利用者の状態の判断や、認知症対応型共同生活介護事業所の介護従業者に対し医療面からの適切な指導、援助を行うことが必要であることから、看護師の確保を要することとしており、准看護師では本加算は認められない。また、看護師の確保については、同一法人の他の施設に勤務する看護師を活用する場合は、当該認知症対応型共同生活介護事業所の職員と他の事業所の職員を併任する職員として確保することも可能である。

③ 医療連携体制加算(Ⅰ)イ、(Ⅰ)ロ、(Ⅰ)ハの体制をとっている事業所が行うべき具体的なサービスとしては、

・ 利用者に対する日常的な健康管理

・ 通常時及び特に利用者の状態悪化時における医療機関(主治医)との連絡・調整

看取りに関する指針の整備

等を想定しており、これらの業務を行うために必要な勤務時間を確保することが必要である。

④ 医療連携体制加算(Ⅰ)ロの体制については、事業所の職員として看護師又は准看護師を常勤換算方法により1名以上配置することとしているが、当該看護職員が准看護師のみの体制である場合には、病院、診療所又は訪問看護ステーションの看護師との連携を要することとしている。

 

⑤ 医療連携体制加算(Ⅱ)を算定する事業所においては、③のサービス提供に加えて、協力医療機関等との連携を確保しつつ、医療ニーズを有する利用者が、可能な限り認知症対応型共同生活介護事業所で療養生活を継続できるように必要な支援を行うことが求められる。 加算の算定に当たっては、施設基準第34号ニの(2)に規定する利用者による利用実績(短期利用認知症対応型共同生活介護を利用する者を含む。)があり、当該利用者が療養生活を送るために必要な支援を行っていることを要件としている。

イ 同号ニの(2)の二に規定する「喀痰吸引を実施している状態」とは、認知症対応型共同生活介護の利用中に喀痰吸引を要する利用者に対して、実際に喀痰吸引を実施している状態である。

ロ 同号ニの(2)の二に規定する「呼吸障害等により人工呼吸器を使用している状態」については、当該月において1週間以上人工呼吸又は間歇的陽圧呼吸を行っていること。

ハ 同号ニの(2)の二に規定する「中心静脈注射を実施している状態」については、中心静脈注射により薬剤の投与をされている利用者又は中心静脈栄養以外に栄養維持が困難な利用者であること。

ニ 同号ニの(2)の二に規定する「人工腎臓を実施している状態」については、当該月において人工腎臓を実施しているものであること。

ホ 同号ニの(2)の二に規定する「重篤な心機能障害、呼吸障害等により常時モニター測定を実施している状態」については、重症不整脈発作を繰り返す状態、収縮期血圧90mmHg以下が持続する状態又は酸素吸入を行っても動脈血酸素飽和度90%以下の状態で常時、心電図、血圧又は動脈血酸素飽和度のいずれかを含むモニタリングを行っていること。

ヘ 同号ニの(2)の二に規定する「人工膀胱又は人工肛門の処置を実施している状態」については、当該利用者に対して、人工膀胱又は人工肛門に係る皮膚の炎症等に対するケアを行った場合であること。

ト 同号ニの(2)の二に規定する「経鼻胃管や胃瘻等の経腸栄養が行われている状態」とは、経口摂取が困難で経腸栄養以外に栄養維持が困難な利用者に対して、経腸栄養を行っている状態であること。

チ 同号ニの(2)の二に規定する「褥瘡に対する治療を実施している状態」については、以下のいずれかの分類に該当し、かつ、当該褥瘡に対して必要な処置を行った場合に限ること。 第一度:皮膚の発赤が持続している部分があり、圧迫を取り除いても消失しない(皮膚の損傷はない)二度:皮膚層の部分的喪失(びらん、水疱、浅いくぼみとして表れるもの)がある 第三度:皮膚層がなくなり潰瘍が皮下組織にまで及ぶ。深いくぼみとして表れ、隣接組織まで及んでいることもあれば、及んでいないこともある 第四度:皮膚層と皮下組織が失われ、筋肉や骨が露出している

リ 同号ニの(2)の二に規定する「気管切開が行われている状態」については、気管切開が行われている利用者について、気管切開に係るケアを行った場合であること。

ヌ 同号ニの(2)の二に規定する「留置カテーテルを使用している状態」については、留置カテーテルが挿入されている利用者に対して、留置カテーテルに係る観察、管理、ケアを行った場合であること。

ル 同号ニの(2)の(十一)に規定する「インスリン注射を実施している状態」については、認知症対応型共同生活介護の利用中にインスリン注射によりインスリンを補う必要がある利用者に対して、実際にインスリン注射を実施している状態である。

⑥ 医療連携体制加算の算定要件である「重度化した場合における対応に係る指針」に盛り込むべき項目としては、例えば、①急性期における医師や医療機関との連携体制、②入院期間中における指定認知症対応型共同生活介護における居住費や食費の取扱い、③看取りに関する考え方、本人及び家族との話し合いや意思確認の方法等の看取りに関する指針、などが考えられる。

また、医療連携加算算定時には、契約を結んだ上で訪問看護ステーションを利用することが可能となったが、急 性増悪時等においては、診療報酬の算定要件に合致すれば、医療保険による訪問看護が利用可能であることについては、これまでと変わらないものである。

 

【参考】利用者に対する日常的な健康管理とは?

1 看護師はグループホームでは、次により利用者の健康状態の把握を行う。

(1)介護従事者からの情報、生活記録、受診、往診記録等からの把握

(2)看護師による利用者一人ひとりの全身状態の観察(バイタル・チェック)

2 看護師は定期的に利用者全員の健康状態を把握し、個別記録を整備する。

    (実施したその日に記録は全て済ませ、記録をグループホームの外へ持ち出さない。)

3 看護師は利用者の健康状態を踏まえ、介護従事者に対し医療面からの適切な指導、援助 を行う。

4 看護師は、管理者と共に利用者に関する健康情報を関係者が活用できるように手立てを 図る。

5 管理者は、看護師が利用者と顔見知りとなり、利用者の日頃の健康状態を把握している ことで、状態の急変を早期に把握することができ、悪化を未然に防止するための対応が 可能であることを理解し、看護師が日常的な健康管理を行うに足る十分な時間を確保す るよう努めること。 

 

【看護師による健康確認の実施回数】

入居者1人ひとりに対する健康管理の実施回数を 週1回以上 とし、日常的な健康管理を行うに足りる時間とする。

(出所)横浜市の取扱通知「認知症対応型共同生活介護(グループホーム)運営の手引(令和6年9月版)P.185~P.186より

 

5.要支援者の取扱

要支援者については、「介護予防認知症対応型共同生活介護費」の対象となるが、これについては、医療連携体制加算を設けていないことから、算定できない。