介護職員等処遇改善加算

全体像(令和7年度)

  要件に応じてより上位の加算に ⇒  
  加算Ⅳ 加算Ⅲ 加算Ⅱ 加算Ⅰ
  12.5 % 15.5 % 17.8 % 18.6 %
共通

●加算Ⅳ相当額の2分の1( = 6.2 %)以上を月額賃金で配分

●賃金体系等の整備及び研修の実施等

職場環境の改善 ※1
昇給の仕組み ※2  
改善後賃金 440万円 ※3    
経験・技能のある介護職員 ※4      
  介護職員等処遇改善加算は、事業所内で柔軟に配分することが可能
※1 28項目から選択。○:7項目以上を実施。◎:13項目以上を実施し、かつ、取組みの見える化を実施
※2 資格や勤続年数等に応じた昇給の仕組みの整備
※3 改善後の賃金年額440万円以上が1人以上
※4 経験・技能のある介護職員を事業所内で一定割合以上配置。訪問介護の場合、介護福祉士30%以上等

 

1.内容

●介護職員その他の職員の賃金(基本給、手当、賞与等)改善を実施するための加算です。

●賃金の改善は介護職員への配分を基本とし、特に経験・技能のある職員に重点的に配分することとしますが、事業所内で柔軟な配分が可能です。

●職員のベースアップ目標値は、令和 7年度 2.0%です(令和6年度 2.5%)

●加算額の計算式は、総報酬単位数×加算率×地域単価です。

 ※ 令和6年度介護報酬改定により、従来の「処遇改善加算、特定処遇改善加算、ベースアップ加算」の3種類は、新たに「介護職員等処遇改善加算」へ一本化されました。

●現行制度から一本化後の処遇改善加算への移行

・令和6年4・5月分は、現行3加算を取得する。

・6月分から新加算Ⅰ~ⅣまたはⅤ(移行措置)を取得する。

・旧3加算の区分変更しない場合、新加算Ⅰ~Ⅳへ自動的に移行。Ⅴ(1)~(14)16.3%~6.6%

2.要件の概要

加算の取得に当たって満たすべき要件は、①月額賃金改善要件、②キャリアパス要件、③職場環境等要件、の3要件となります。

要件 内容
月額賃金改善要件

 新加算Ⅳに相当する加算額の2分の1以上を、基本給又は決まって毎月支払われる手当の改善に充てること

※令和7年度より適用されます

旧介護職員等ベースアップ等支援加算に相当する加算額の3分の2以上を、基本給又は決まって毎月支払われる手当の改善に充てること

※初めて新加算ⅠからⅣまでのいずれかを算定する事業年度に適用されます

キャリアパス要件

介護職員について、職位、職責、職務内容等に応じた任用等の要件を定め、それらに応じた賃金体系を整備すること

※現在未対応(誓約のみ)の場合は、令和6年度中の対応が必要です

 介護職員の資質向上の目標や、研修機会の提供等又は資格取得のための支援に関する具体的な計画を策定し、当該計画に係る研修の実施又は研修の機会を確保すること

※現在未対応(誓約のみ)の場合は、令和6年度中の対応が必要です

介護職員について経験や資格等に応じて昇給する等の仕組みを整備すること

※現在未対応(誓約のみ)の場合は、令和6年度中の対応が必要です

経験・技能のある介護職員のうち1人以上は、賃金改善後の賃金額が年額440万円以上であること
一定割合以上の介護福祉士等を配置すること
職場環境等要件

6つの区分ごとにそれぞれ1つ以上(「生産性向上」の区分は2つ以上)の取組を実施すること

※令和7年度より、実施する取組の内容が見直しされます 

6つの区分ごとにそれぞれ2つ以上(「生産性向上」の区分は3つ以上かつ一部は必須)の取組を実施すること

 ※令和7年度より、実施する取組の内容が見直しされます

情報公表システム等において実施した取組の内容について具体的に公表すること

【職場環境等要件】

●介護職員等処遇改善加算 Ⅲ・Ⅳ:6つの区分ごとにそれぞれつ以上(生産性向上はつ以上)取り組んでいる

●介護職員等処遇改善加算 Ⅰ・Ⅱ:6つの区分ごとにそれぞれつ以上(生産性向上はつ以上うち⑰又は⑱は必須)取り組んでいる

区分 具体的内容
入職促進に向けた取組

①法人や事業所の経営理念やケア方針・人材育成方針、その実現のための施策・仕組みなどの明確化

②事業者の共同による採用・人事ローテーション・研修のための制度構築

③他産業からの転職者、主婦層、中高年齢者等、経験者・有資格者等にこだわらない幅広い採用の仕組みの構築(採用の実績でも可

④職業体験の受入れや地域行事への参加や主催等による職業魅力度向上の取組の実施

資質の向上やキャリアアップに向けた支援

⑤働きながら介護福祉士取得を目指す者に対する実務者研修受講支援や、より専門性の高い介護技術を取得しようとする者に対するユニットリーダー研修、ファーストステップ研修、喀痰吸引、認知症ケア、サービス提供責任者研修、中堅職員に対するマネジメント研修の受講支援等

⑥研修の受講やキャリア段位制度と人事考課との連動

⑦エルダー・メンター(仕事やメンタル面のサポート等をする担当者)制度等導入

⑧上位者・担当者等によるキャリア面談など、キャリアアップ・働き方等に関する定期的な相談の機会の確保

両立支援・多様な働き方の推進

⑨子育てや家族等の介護等と仕事の両立を目指す者のための休業制度等の充実、事業所内託児施設の整備

⑩職員の事情等の状況に応じた勤務シフトや短時間正規職員制度の導入、職員の希望に即した非正規職員から正規職員への転換の制度等の整備

有給休暇を取得しやすい雰囲気・意識作りのため、具体的な取得目標(例えば、1週間以上の休暇を年に●回取得、付与日数のうち●%以上を取得)を定めた上で、取得状況を定期的に確認し、身近な上司等からの積極的な声かけを行っている

有給休暇の取得促進のため、情報共有や複数担当制等により、業務の属人化の解消、業務配分の偏りの解消を行っている

腰痛を含む心身の健康管理

⑬業務や福利厚生制度、メンタルヘルス等の職員相談窓口の設置等相談体制の充実

⑭短時間勤務労働者等も受診可能な健康診断・ストレスチェックや、従業員のための休憩室の設置等健康管理対策の実施

⑮介護職員の身体の負担軽減のための介護技術の修得支援、職員に対する腰痛対策の研修、管理者に対する雇用管理改善の研修等の実施

⑯事故・トラブルへの対応マニュアル等の作成等の体制の整備

生産性向上(業務改善及び働く環境改善)のための取組

厚生労働省が示している「生産性向上ガイドライン」に基づき、業務改善活動の体制構築(委員会やプロジェクトチームの立ち上げ又は外部の研修会の活用等)を行っている

現場の課題の見える化(課題の抽出、課題の構造化、業務時間調査の実施等)を実施している

⑲5S活動(業務管理の手法の1つ。整理・整頓・清掃・清潔・躾の頭文字をとったもの)等の実践による職場環境の整備を行っている

⑳業務手順書の作成や、記録・報告様式の工夫等による情報共有や作業負担の軽減を行っている

介護ソフト(記録、情報共有、請求業務転記が不要なもの。)、情報端末(タブレット端末、スマートフォン端末等)の導入

介護ロボット(見守り支援、移乗支援、移動支援、排泄支援、入浴支援、介護業務支援等)又はインカム等の職員間の連絡調整の迅速化に資するICT機器(ビジネスチャットツール含む)の導入

業務内容の明確化と役割分担を行い、介護職員がケアに集中できる環境を整備。特に、間接業務(食事等の準備や片付け、清掃、ベッドメイク、ゴミ捨て等)がある場合は、いわゆる介護助手等の活用や外注等で担うなど、役割の見直しやシフトの組み換え等を行う

各種委員会の共同設置、各種指針・計画の共同策定、物品の共同購入等の事務処理部門の集約、共同で行うICTインフラの整備、人事管理システムや福利厚生システム等の共通化等、協働化を通じた職場環境の改善に向けた取組の実施

※生産性向上体制推進加算を取得している場合には、「生産性向上(業務改善及び働く環境改善)のための取組」の要件を満たすものとする

※小規模事業者は、㉔の取組を実施していれば、「生産性向上(業務改善及び働く環境改善)のための取組」の要件を満たすものとする

やりがい・働きがいの醸成

㉕ミーティング等による職場内コミュニケーションの円滑化による個々の介護職員の気づきを踏まえた勤務環境やケア内容の改善

㉖地域包括ケアの一員としてのモチベーション向上に資する、地域の児童・生徒や住民との交流の実施

㉗利用者本位のケア方針など介護保険や法人の理念等を定期的に学ぶ機会の提供

㉘ケアの好事例や、利用者やその家族からの謝意等の情報を共有する機会の提供

新加算Ⅰ・Ⅱにおいては、情報公表システム等で職場環境等要件の各項目ごとの具体的な取組内容の公表を求める。下線部は令和6年度までの要件からの主な変更点

4.算定要件 早見表(令和 7年度以降)

加算区分 月額賃金改善要件 キャリアパス要件 職場環境等要件
②  ③ 
加算Ⅰ
加算Ⅱ
加算Ⅲ
加算Ⅳ
 
 
 
  初めて新加算ⅠからⅣまでのいずれかを算定する事業年度に満たす必要のある要件

  ↓ 横軸と縦軸を逆にした表

(注)□は、(2)(4)(7)(9)(13)を未算定だった場合に満たす必要がある要件

 

5.厚生労働省公式サイト

 ■ 介護職員の処遇改善(2024.7.30)→ こちら

 

(まずはこちらをご覧ください)

〇事業者向けリーフレット

〇制度概要・全体説明資料

〇事務担当者向け・詳細説明資料

 

●利用者向けリーフレット(2024.4.15)→ こちら

 

【通知本文】

●介護職員等処遇改善加算等に関する基本的考え方並びに事務処理手順及び様式例の提示について

 

●別紙1 

【様式】

・別紙様式2(処遇改善計画書)

・別紙様式3(実績報告書)

・別紙様式4(変更に係る届出書)

・別紙様式5(特別な事情に係る届出書)

・別紙様式6(小規模事業所用・計画書)【新設】10事業所以下

・別紙様式7(加算未算定事業所用・計画書・実績報告書)

※介護保険最新情報Vol.1209で周知した内容から修正・更新あり

 

【Q&A】

介護職員等処遇改善加算等に関するQ&A

第3版(2024.6.20)

第2版(2024.4.4)

第1版(2024.3.15)

 

<参考>賃上げ促進税制 法人税最大45%減税 令和6年度 税制改正

■ 賃上げ促進税制

 ・賃上げを実施した場合、賃上げ額の一部を法人税などから控除できる制度。

 ・中小企業は最大45%を法人税などから控除できる。

 ・処遇改善加算による賃上げについて、賃上げ促進税制の対象となりました。

 (令和6年度税制改正)

 

■ 関連情報

介護現場における賃上げ促進税制の活用に係るリーフレット(2024年5月)

厚生労働省 事業者向け処遇改善加算リーフレット(2024年3月)

令和6年度税制改正「賃上げ促進税制」パンフレット(2024年3月時点版)

 ※ 制度の詳細については、5月上旬を目途にホームページに掲載予定。

経済産業省「賃上げ促進税制」

財務省「賃上げ促進税制について」(2024.1.19)